クラシックギター愛好家の間ではかなり知名度の高い名曲「11月のある日」。
哀愁漂う美しいメロディや中盤の高音フレーズが印象的なこの曲について、難易度や収録されている楽譜、作曲者や演奏者についてまとめてみました。
「11月のある日」の魅力をよりお伝えできれば幸いです。
※お忙しい方は「まとめ」部分に要点だけ書きましたので、そこだけでも見ていただけると嬉しいです。
【忙しい方向け】「11月のある日」まとめ
詳しくは各項に記載の通りですが、ざっくり書くとこのような形になります。
・作曲者
キューバの作曲家「レオ・ブローウェル」による作曲です。
・難易度
比較的易しく、初心者向け・半年~1年程度の経験で演奏可と推察します。
中盤のストレッチ気味の高音フレーズ(サビ的なとこ)以外は、弾きやすい運指が多いです。
・主な演奏者
国内では大萩康司さん、海外ではTatyana Ryzhkova (タチアナ・リツコヴァ)さんや・Alexandra Whittingham (アレキサンドラ・ウィッティンガム)さんなどが有名です。
・楽譜
(いつの時代も)Amazonなどで比較的入手しやすい楽譜集に含まれています。
ありがたいですね。
2020/9現在では、「全曲TAB譜付きで弾きやすい! 憧れのクラシック・ギター名曲選」がTAB譜・模範演奏CDもついているので無難そうです。
「11月のある日」の概要・作曲者
「11月のある日」は、キューバの作曲家・ギタリストのレオ・ブローウェル(Leo Brouwer)によって作曲された楽曲です。
3拍子の短調で、出だしの旋律とクラシックギター曲としては珍しい、流れるような低音、中盤の(ストレッチ気味のセーハがきつい)美しいメロディが印象的です。
ブローウェルは1980年代まで自身もギタリストとして活動していましたが、手を痛めて以降は指揮を中心に活動しており、他のギター楽曲としてはジョンウィリアムスも演奏している「黒いデカメロン」などが有名です。
国内では、同タイトルでCDデビューしている大萩康司さんの演奏が有名です。
※全曲ブローウェル作・編で、さすがは「レオ・ブローウェル作品最優秀演奏賞」受賞者ですね。。
なお、クラシックギタリストの間では非常に有名な楽曲ですが、実は元々は映画音楽で、「ウンベルト・ソラス」監督の「Un dia de noviembre (1976)」の楽曲でした。
※本作品において、ブローウェルは楽曲を担当。
クラシックギターの有名な曲としては、「禁じられた遊び」や「カヴァティーナ」は映画で使用された楽曲であることがよく知られていますが、「11月のある日」も映画音楽だったことはあまり知られていません。
映画の内容については、どうやら「キューバ革命をテーマにしたシリアスな作品」といった具合のようで「国内で論争を巻きおこした結果、上映を遅らせた」といったような記載も見受けられました。
そうした事情もあってか、他の地域ではあまり上映されていなかったよう見受けられることから、映画としての知名度が低いのも無理はないかと思われます。
※以下ページより情報を読み取りました。
https://www.cinematecacubana.com/Scripts/prodView.asp?idproduct=998
「11月のある日」の難易度
比較的易しめ、「中級寄りの初級」といった印象で、概ね初心者の方でも「ちょっと先の目標として取り組みやすい楽曲」と言えます。
中盤の高音フレーズは1弦12フレットを押さえながら7フレットをセーハという難しめのフレーズですが、全体を通してみると非常に理に適った運指になっており、楽譜を見るたびにブローウェル自身がギターという楽器を知り尽くしていることが伺える、素晴らしい楽曲です。
どちらかと言うと、テクニック的な難しさはそれほど高くなく、表現の部分の方が難しいといった印象があります。
特に中盤の高音フレーズについては、大萩康司さんなどプロの方が演奏しているようなスピードで弾こうとすると、一気に難易度が高くなります。
表現を突き詰めて練習・演奏するのが好きな方は、長らく取り組めるレパートリーになるはずです。
参考程度になりますが、私が学生時代に所属していたギターアンサンブルサークルでは「1年生は初年度に各自独奏曲を発表する」という、今にして思えば厳しい慣習があったのですが、「11月のある日」は比較的チャレンジする人が多い曲でした。
体感としては「クラシックギターを始めて半年~1年程度の人が、頑張って練習すればマスターできる」というくらいの難易度といった印象です。
なので、このページをご覧になっている方で「始めて間もない」とか「1年くらい」といった状況でも、きっと弾けるようになると思います。
…というか、こんなところに辿り着くくらい「11月のある日」について調べるほどモチベーションの高い方なら、必ずマスターできると思います。
「好きな曲に取り組むのが上達の近道」です。
「11月のある日」の演奏者
大萩康司
国内では最も有名な「11月のある日」演奏者だと思われます。圧巻の表現力です。
Tatyana Ryzhkova (タチアナ・リツコヴァ)
ベラルーシの女性ギタリストTatyana Ryzhkova (タチアナ・リツコヴァ)氏の演奏。
中盤のダイナミックレンジが印象的です。
Alexandra Whittingham (アレキサンドラ・ウィッティンガム)
イギリスの女性ギタリスト、Alexandra Whittingham (アレキサンドラ・ウィッティンガム)氏の演奏。
他の方と比較してあまりテンポを変えず、楽譜に忠実に優しい音色で演奏されている印象です。
Xuanxuan Sun
中国のギタリストであるXuanxuan Sun氏。
中盤のフレーズも急激にテンポを変えずに演奏されているため、初心者の方はこちらの演奏を完成イメージとして練習されると良いかもしれません。
「11月のある日」の楽譜
「11月のある日」はクラシックギター定番曲として親しまれているので、時期によって手に入りやすい楽譜は変わってきますが、いつの時代もだいたいメジャーどころの楽譜集に含まれています。
今後も弾き継がれる名曲として鎮座してほしいところです。
全曲TAB譜付きで弾きやすい! 憧れのクラシック・ギター名曲選
こちらの楽譜集はTAB譜・模範演奏CDもあるのでおすすめです。
ギターソロのためのTAB 譜で弾くクラシックギター名曲集
こちらは模範演奏CDなどは付属していませんが、このご時世YouTubeなどでいくらでもプロの演奏が聴けるので、デメリットではないかもしれません。
タイトル通り、クラシックギター楽曲のみ収録された硬派めな楽譜集ですので、他の楽譜と収録タイトルを見比べると良いかと思います。
※Amazonには収録曲の明記がないので、不安な方はこちらでご確認ください。
https://www.gendaiguitar.com/index.php?main_page=product_info&products_id=143011
クラシックギター名曲てんこもり BOOK Vol.1 ~愛のロマンスから11月のある日まで~
こちらの楽譜集は、奏法解説・模範演奏CD付の楽譜集です。
TAB譜はないため、楽譜を読むのが苦手な方は他の楽譜の方が良いかと思われます。
おわりに
クラシックギターファンに愛される「11月のある日」について簡単に紹介させていただきました。
私自身、今回改めて調べる中で「元々映画音楽だったのかー」といった発見もあり、ちょっと新鮮な気持ちになれました。(小並感)
…が、ざっくり調べただけでは「いつからクラシックギター定番曲として扱われているのか」といった元ネタが見つからず、それはちょっと気がかりでした。。
気が向いたらまたリサーチしてみようと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
※他、クラシックギター初心者向けのコンテンツにご興味がある方は、以下のページも見てみていただけると嬉しいです。
クラシックギター初心者におすすめの曲
クラシックギター初心者におすすめの楽譜