「TAB譜ではなく、五線譜でギターを弾けるようにするメリットは何ですか?」
といったご質問があったので、回答していきたいと思います。
ざっくりですが「楽曲の分析をする能力が鍛えられる」といったところですが、それぞれ触れていきます。
コードが読みとりやすい
例えば「ドミソ」の和音、いわゆる「C」のコード一つとっても、
↓五線なら「他の音である可能性がない」ですが、
↓TABだと表記上こうだったり
↓こうだったり
↓こうである可能性があります
まあ慣れの問題なので、上記のようなシンプルなパターンなら曲のキーやら前後の文脈も含めて「まあ全部Cだろ」みたいな判断もつきやすいですが、複雑なフレーズの場合はTABだけだと「何の意図でこうなってんだ?」と、読み取るのに苦慮するケースもあります。
例としては、
↓こう書かれていれば、五線を見れば「E♭か」と明白ですが、
↓TABだけだとこうなります。
↓でも実は、記譜した人間の意図的にはこうでした、みたいなこともありえます。
最終的な音は同じなので上記は意地の悪い例ですが、転回系のコードの場合も考えると、五線が読めた方が解釈にブレが出にくくなると感じています。
コードもとい、必然性のある音が分かれば「難しいからここは(内緒で)音省いてミスらないようにしよう」とか「もうちょい遊びの音を足せるな」といった判断も付きやすいですが、TABは最初から解答が示されているため、そうした感覚は身に付けにくいのではないかと感じています。
自分で運指を考える能力が鍛えられる
五線譜でギターを弾くためには、自分で運指を考える必要があります。
不慣れなうちは結構大変ですが、慣れてくるとTAB譜とそれほど変わらないくらいの速度で弾けるようになります。
また、運指を考える能力がついてくると、市販のTAB譜を見たときに「これはベストな運指じゃないな」みたいに、より良い運指を自分でアレンジできるようにもなってきます。
市販譜のTABが最適解ではないケースは正直多いので、そうした場合も「五線から運指を判断できる」という技術が活きることが多いです。
慣れてくると、演奏イメージをそれほど損なわずに劇的に簡単な運指にアレンジできるようにもなれるのでおすすめです。
楽曲の全体像が把握しやすくなる
以下のページのお話がわかりやすいので、ご参考になればと思います。
一番わかりやすいのが、1小節目のCコードと3小節目のAm7コードなんだけど、ギターのフレーズは同じなのに、ベースの音が変わることで、コード名も変わっているのが分かるかな? 全体の響きも全然違って来るよ。【引用】ギター初心者の悩み、タブ譜の数字とその上のコードとの関係 | リュウのギタ活! ブログ
https://rhrichie.click/guitar-syosinsya-tabuhu-chord-kannkei
この譜例ではコードネームがついているので大丈夫ですが、TABだけだと前述の点に加え、パート全体や流れているコード感に意識が行きづらくなるような印象もいたします。(抜群に耳が良い方なら別ですが)
編成次第ではありますが、少なくともベースパートの音、できれば鍵盤パートの音まで把握できると、ギターもより深く楽しめるのではないかと思います。
おわりに
楽譜を五線譜で読めるメリット・TAB譜のデメリットについて書かせていただきました。
…まあ、私自身もTAB譜を活用することはかなり多いのですが、全てその通りに弾くことは稀で「こっちのが絶対弾きやすいでしょ。。」みたいに運指を変えたり、そもそもフレーズに無理があったりする場合は音自体をちょっと変えて弾きやすくしたりといったケースもまた多いです。
もし、「そうしたアレンジができるようになりたい」といった場合は、少しずつでも「五線譜でギターを弾いてみる」といった習慣を付けていただくと良いかと思います。
ご参考いただけると嬉しいです。