…しばらくぶりの更新になります。
ここしばらく何をしていたかというと、久々にソロギター、いわゆるギター独奏の練習に注力していました。
というのも、当方元々ソロギターも嗜んでいたのですが、最近色んな人と話すときに
「趣味はまあギターっすね」
などと言うわけですが、返しに
「へー、何か弾いてよ!」
と言われた際に
「一般受けするレパートリーがねえ。。。」
といった状況になって涙が出そうになったからです。
そう、クラシックギター独奏を嗜む者にとって
「何か弾いてよ」
という言葉は時に残酷なのです。
「アルハンブラの思い出」やら「禁じられた遊び」といったギター独奏界での定番曲もちろん、比較的キャッチーなヨークの曲を弾いたとして、
「お、おう。。。」
みたいな反応が返ってくるのはいつものことでした。
「クラシックギターは、やってることの高度さと世間の評価の乖離がひどい」
などと評されることも多いですが、上記のシチュエーションはそれを肌で痛感し、自らが生み出したその微妙な空気の後始末に苦慮する瞬間でした。
引き攣った顔で
「ゆ、指の動きすごいね。。。」
とか言われたときは、明らかに苦しいコメントをさせてしまった自分の不甲斐なさが悔しくて泣きそうでした。
が、いい加減なにかしか対策を講じようと思い、一般受けしそうなポップス曲のソロギターアレンジ版を漁っては練習すること約2ヶ月。
ガチガチに硬くなっていく左手の指先と共に、改めて実感したことがありました。
「ソロギターやってると編曲の引き出しが増えるな」
ということです。(今更)
…というわけで前書き(否、もはや私情による愚痴)が長くなりましたが、ソロギターを嗜むことで期待できる編曲センスの向上について書いていきたいと思います。
音数を減らすポイントが分かる
別の記事でもちょろっと書きましたが、ギターアンサンブル編曲(特にポップス楽曲のメロディ)においては、原曲と全く同じ音数にせず、少し端折って表現することもあります。
※「別の記事」はこちら↓
https://guitar-en.jp/2019/01/03/simplification/#i-4
理由としては以下が主なものです。
・ギターで演奏するには速すぎて演奏が破綻する
・(歌ものの場合)母音のメロディまで律義に弾くと違和感が生じる
音数の端折り方は慣れてくれば「まあこんなもんかな」と勘所が分かってくるのですが、初心者の方は真面目に原曲と同じ音数で編曲してしまい、いざ弾いてみたときに
「速すぎて弾けねえ」
といった状況になりがちです。(恥ずかしながら私はそうでした)
その「音数を端折る勘所」を効率よく掴むためのコツとして、「ポップス系楽曲のソロギター編曲版を聴いたり弾いたりする」というのがおすすめです。
ソロギターでは当然、メロディ・和音・ベース音を1人で、1本のギターで演奏しますので、ギターアンサンブル以上にこの「端折り」が重要になってきます。
以下の「龍藏」さんの編曲・演奏はどれもその勘所がすばらしいな、と思います。
※楽譜販売もされているので、譜面を見て勉強することもできますね。
ポップス系楽曲をソロギターで編曲・演奏している方の演奏を聴いたり、自分で弾いてみたりすることで、
「なるほど、フレーズの端折りはこうやって考えるわけね」
と、そのエッセンス的なものを効率よく吸収できると思います。
同じフレーズが複数回出てくるときの編曲手法が分かる
ギターアンサンブル編曲をしている際、つきものの悩みとして
「さっきと同じフレーズだけど、なんか違ったアレンジをした方がいいのかな。。」
と、同じフレーズをリピートするときにどう対応するか、というものがあります。
曲のジャンルや雰囲気、ひいては楽譜作成や練習に充てられる時間によって変わってくると思いますので、定型的な答えはないと思います。
が、この辺もまたソロギターに触れることで、ある種の勘所が分かってきます。
前述の通りソロギターはギター1本なので、ギターアンサンブル以上に手が忙しく、正直あまり融通が利きません。
その中で、同じフレーズが複数回出てきた場合の編曲を考えるわけで、大抵は以下いずれかで対応します。
①融通利かない中でも伴奏パターンなどを変え、印象の異なる編曲にする
②気にせず「同じフレーズは同じように弾く」編曲にする
「①のが良いんじゃないの?」
と思われる方も多いと思います。
ソロギターに触れることで、①にする場合の勘所を掴めるのはもちろんですが、
「②でも案外思ったよりは気にならない」
ということも分かります。
例えばですが、以下「まるやまたつや」さんの演奏。
「同じフレーズは徹底して同じパターンの編曲」となってますが、普通にカッコいいと思う方が多いのではないかと思います。
上記の通り、最終的には「時と場合による」といった考え方で良いかと思いますが、ソロギターに触れることで、①②それぞれ「どちらでもカッコいい」ということもご理解いただけるはずです。
自身のギター演奏スキルが向上し、難しいフレーズの演奏・編曲が可能になる
これは少々精神論的な話も入ってきますが、メリットも多いのでお話できればと思います。
経験のある方はわかるかと思いますが、ソロギターは基本的にギターアンサンブルの演奏と比較すると「難しい」と言って差し支えないかと思います。
というのも前述の通り、1本のギターでメロディ・和音・ベース音を弾くからです。
(要は3倍、「カラダもってくれよ!」って話なわけです。)
つまり、ソロギター曲の練習を習慣化することで、以下の効果が期待できます。
①普段触れているギターアンサンブルのフレーズの体感難易度が(相対的に)下がる
②多少無理のあるフレーズも弾けるようになるので、編曲の幅が広がる
「①」の結果、それまで「無理でしょ」と思ってた範囲のフレーズが「あれ、弾ける?」となり、「②」が可能になる、といった感じでしょうか。
特に大人数で弾くギター合奏形式でなく、少人数編成の重奏の際は、上記「②」のメリットを強く感じることができると思います。
というのも、難しいフレーズを自分のパートに意図的に集めて編曲することで、他のメンバーの負担を下げつつトータルの演奏クオリティを高めることができるからです。
絵で示すとこんな感じでしょうか。
ギターを初めて間もない初心者の方と一緒に重奏をする際など、一部パートの難易度を意図的に下げる編曲をする場合、その分他のパートに負荷を散らす必要が出てきます。
そんなときは、自身の演奏スキルが一定以上あった方が自由が利いてきます。
上記のようなやり方で初心者の方のサポートができたときなどは、
「あー、ある程度弾けるようにしといてよかったなー」
と必ず思っていただけるはずですので、ソロギターを練習して損はないはずです。
まとめ
ソロギターに触れ、練習することで、ギターアンサンブル編曲において以下のメリットがある。
・メロディ等の音数を減らすポイントが分かる
・同じフレーズが複数回出てくるときの編曲手法や、敢えて同じように編曲しても問題ないことが分かる
・ギター演奏スキル向上の結果、難しいフレーズを敢えて自パートに寄せた編曲も可能になる
あとは、YouTubeで改めて色んな方のソロギター演奏を見てみて、編曲のやり方は人それぞれだと感じています。(皆様当然お上手だと感じます)
ご自身で編曲する際は「これでいいのかな」などと正解・間違いを気にしてしまいがちかと思いますが、本当に人それぞれですので、まずは「これでいいんだ」と自信を持っていただければと思います。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
※2019/7/16追記
ソロギター、というかクラシックギター初心者におすすめの曲についてまとめましたので、よかったらご覧いただけると嬉しいです。(散々この記事でポップス系の曲を推しておいてですが、いわゆる「クラシックギター」の曲に絞った記事になっています。とっつきやすい曲なのは間違いないはずです^^;)