クラシックギターアンサンブル・ソロギター編曲のやり方、楽譜アレンジ・編曲のコツやらあれこれ

ギター編曲のイロハ

環境作り 練習のコツ

クラシックギターの練習を習慣化するコツ

更新日:

クラシックギターを始めてみたけど、なかなか練習が習慣付けできず続かない

初心者ではないけど、未だに練習モードに入るコツがわからない

そんな悩みをお持ちではないでしょうか?

AmazonプライムやらYouTube、スマホや漫画やゲーム、世の中には雑念を駆り立てる魅力的なコンテンツが多すぎて、クラシックギターの練習どころではありませんよねほんと。

…かく言う私も未だに試行錯誤していますが、15年ほどクラシックギターをやってきて分かった、
「こうすると練習モードに入りやすいよ」
というコツみたいなものがありますので、今回はその辺りをお話できればと思います。

因みにですが、「音楽的な話」とか「練習方法」といった内容ではなく、どちらかというと「環境整備」や「行動の見直し」といった要素が強いです。

しかしながら意識していただくことで、ギターの練習が習慣化できたり、練習効率を上げることができるかと思いますので、ご参考いただけると嬉しいです。

忙しい方は「目次」から気になった箇所だけでもチラ見していただけると嬉しいです。

「練習を始めやすい環境」を作る

練習を始める際に、ストレス・障害になり得る要素を極力排除することで、毎日ギターに触りやすくします。

具体的には、「物理的にワンモーションで練習に取り掛かれる環境」にしておくと、「すっ」とギターを手に取る気になります。

また、「周囲への騒音が気になる」といった不安要素も練習の阻害要因になるため、その点の対策も必要です。

例としてはこんなところです。
・ギターを出したままにする
・チューニングをしやすくする
・音量を下げる(サイレントギター・ミュートの利用)

それぞれ説明していきます。

ギターを出したままにする

ギタースタンドや壁掛けフックなどを使い、ギターをケースにしまわないようにしておきます。

そうすることで、「すぐにギターを手に取れる状態」にします。

「ケースから出す」という一手間をなくすだけで、練習を始める際の精神的ハードルが下がり、習慣化しやすくなります

ご自身の部屋との相性に応じ、以下のようなグッズを使います。※私は全部持っていて、気分や時期によって使い分けます。

置き型ギタースタンドを使う

これは万人にとって使いやすいかと思います。不便に感じるようになったときにしまっておけるよう、折りたたみできるタイプがおすすめです。

壁掛け型ギターフックを使う(ワイヤネット用)

ワイヤネットを使っている方にはおすすめです。※耐重量にはご注意ください。

簡易型ギタースタンドを使う

デスクや棚の端に置くだけの簡易的なものですが、案外かなり使いやすいです。

「スペースの都合上、これしか置けなさそう」という方は、これでも十分かと思います。

チューニングをしやすくする

チューニングは少々手間に感じますが、できる限り楽に行えるようにしておきましょう。

具体的には、「クリップ式のチューナーを使い、常にギターに付けたままにしておく」と良いです。

こだわりがなければ「KORG」のクリップ式のものが間違いないです。

初心者の方の中には、
「音叉を使わないと耳が良くならないのでは?」
といった意見を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

それ自体を否定する気はないですし、一理あるとも思うのですが、耳を鍛えたいなら別途「それ用」のトレーニングをした方が効率的です。

ギター練習の際は、素直に文明の利器を活用しましょう。

「サイレントギター」を使う

「マンション住まいだけど、普通のギターは騒音問題になりそうで弾けないなあ」

という方には、ヤマハなどのメーカーが出している「サイレントギター」がおすすめです。

「サイレント」というだけあって音量は小さく、マンション程度の環境であれば、普通に弾く分には問題なく可能です。
※とは言え全力で弾くと深夜は流石に厳しいと思います。

通常のクラシックギター相当の精密なタッチの練習には不向きな印象がありますが、それでも運指・曲の記憶などはできますし、練習時間ゼロよりは断然良いです。

ちなみに私は15年以上ヤマハのサイレントギターを使って昼夜問わず弾けるようにしていますが、マンション程度の物件であれば特段隣人トラブルになることはなかったです。

金額を見れば決して安い投資ではないですが、個人的には「7〜8万の投資で、10年以上ギターを練習する習慣が身に付いた」と考えれば、お得だったと感じます。

「SLG200NW」が、ネック太さも含めた「クラシックギターモデル」です。「SLG200N」はナイロン弦ですが細めのネックなので、クラシックギター奏者の方は「SLG200NW」を選びましょう。

【夜の練習時】ミュート(弱音器)を使う

ギターに取り付けて使う、ミュートを利用します。

サイレントギターと併用することで、深夜のピック弾きもOK、くらいの音量まで抑えることが可能になります。
※とは言え控えめなピッキング推奨です。

サイレントギターに抵抗がある方は、まずは導入ハードルが低いミュートから試すと良いかと思います。
※以下のモデルは、クラシックギターで使う場合は弦間隔の関係で、「ハサミで3分割にカット」して使う必要がありましたが、概ね良い感じに機能しています。

練習を阻害する要因を遠ざける

前述の内容とは逆に、練習を邪魔し得る要因を遠ざけたり、物理的にすぐに手に取れない場所に置いておく、といったイメージです。

「練習を始めやすい環境づくり」と併せて行うことで、「相対的にギターの練習の方がストレスなく始められる」という環境を作り、習慣化を促進します。

ベタな内容ですが具体的な例としては、以下のようなものです。
・TVを消して、リモコンを部屋の外に出す
・スマホを取りづらい場所に置く

特にスマホは大きな集中阻害要因で、「視界に入るだけで集中力の低下が見られた」という研究結果もあるほどです。

練習中にスマホの通知が鳴ったら、集中力が切れてついつい画面を見る、といったことにもなりがちですので、出来るだけ遠ざけておきましょう。

…まあ「スマホで音源再生やメトロノームをかけつつ練習」といった状況もありますので、完全に排除するのは困難かもしれませんが、「それらをできるだけスマホ以外の機器で賄う」といった工夫をした方が良い、と覚えておいていただけると嬉しいです。

練習自体を効率化する

投下した練習時間で最大の結果を得られるよう、できる限り練習に関わるモノの最適化を行い、集中して効率良く練習できるようにします。モチベーション維持のためには「成長の実感」が必要なので、効率的にその実感を得やすくする、といったイメージです。

言うなればスマホゲームなどでよくある、「経験値◯倍」みたいなものですね。

以下のような方法で実施します。

楽譜を見やすくする

練習の際に楽譜を使う場合、極力「見やすく」することで、練習効率を上げることができます。

楽譜を見る都度生じる数秒の省略や、見づらい位置の楽譜を見ることによる集中力低下や神経・体力の消耗を防ぐ、というイメージです。

「楽譜を何の媒体で見ているか」によりますが、以下のように「見やすく」します。
・紙派→譜面台を使い、楽譜を見やすい位置に置く。
・PC派(PDF等)→スタンドやデスクを使い、PCを見やすい位置に置く。

私はもっぱら「PC×PDF」の形です。

紙の楽譜はすぐに失くすし部屋も散らかるので、それを防げるPDF形式に切り替えました。ギターを構えた姿勢でも視認できる位置にPCを置いて練習、というケースが多いです。

本棚から楽譜を探す時間、散乱した楽譜を片付ける時間を削減できたのは大きかったです。

紙の楽譜を使われる方は、極力「譜めくり」を行わないで済む形式にしておくと良いです。

※A3見開きで収まるように印刷する、A4数枚をテープで繋げ1枚綴りにしたものを譜面台に置く、などです。

メトロノームを使う

基礎練習においては必須、楽曲の練習においても暗譜ができたり、運指をある程度記憶できたなど、曲の輪郭を覚え始めたら有効な方法です。

要は「自分のリズムで弾かない」ことを強制する、ということです。(これがマジでしんどいんですよね毎度。。)

そうすることで、より正しいリズムを意識して練習することができるので、最終的な練習効率が高まります。

クラブミュージックのように、メロディや伴奏といった「音」の要素があまりない曲でも、ベース音とドラムの音とかでも聴いてて心地良いじゃないですか

要は、「音」よりも「リズム」の方が、聴いていて刺さるのということで、「ノれるリズムの演奏」ができると良いのだと思います。

そのためには、自分の意識の外の、規則的なリズムに乗せた練習が効果的です。

自分以外のリズムで弾くことで、毎回躓くフレーズを正確に把握でき、重点的に練習できるようになります。

また、メトロノームなしだと案外「1フレーズ弾く毎に、細かい休憩を取ってしまっていた」みたいなことが起きやすく、メトロノームを使うことで立て続けに反復練習がしやすくなる点もおすすめです。

1つだけでも、以下のような「単機能のメトロノーム」を持っておくと良いです。

練習時にスマホを遠ざける

前述の内容と被りますが、「スマホは視界に入るだけで集中力が落ちる」ので、極力「メトロノームアプリを使う」といったことはせず、練習の際は視界に入らないようにしましょう。

楽譜アプリや録音、撮影など、スマホの代わりが効きづらい使い方をされる場合は、せめて「機内モードにしておく」のがおすすめです。

通知が来て集中力が途切れるリスクを減らせる他、「ちょっとネットサーフィンを。。」といった自発的なサボりも防止できるためです。

「ネットサーフィンのためには機内モードを解除しなければならない」という一手間のハードルを設けるだけで、案外効果があります。

モノの最適配置を決める

ギター自体やスタンド、譜面台、メトロノームやチューナーといった機器から飲み物など、練習で必要となるモノについて、「練習するときは必ずモノをこの配置にする」といった形で最適化します。

理想としては、「練習で使うものは、座っている場所から全て手を伸ばせば届く位置に配置する」といったイメージです。

そうすることで、「モノを取ったのがきっかけで集中力が切れてスマホを触り出した」といったことを防止できます。

少々余談になりますが、クラシックギタリストの必需品である「爪ヤスリ」についても、以下のような「削りカスが散らからないもの」を使うとストレスが非常に減ります。(私はこれのおかげで爪の手入れ頻度が上がりました)

これまた余談ですが、昔は「サンドペーパーで仕上げ」みたいなこともやってましたが、「力を加減して削れば、この手の『粗めのやすり』でも全然大丈夫だな」ってことに気づきました。

また、爪のコンディションにこだわっていた頃は、細かな仕上がりに一喜一憂し、納得できない仕上がりのときはしばらく憂鬱だったり本番前に動揺したりもしましたが、今は「まあいいか。。」みたいに大らかな気持ちになれたのも良いです。

出先で爪ヤスリセットがないときに動揺しづらくなるので、このヤスリで慣れておくのは非常におすすめです。

「1秒触る」を目標にする

「今日はやる気にならないからやめよう」ってこともあります。私もけっこうあります。

が、人間の脳は構造上「やる気を出すためには、まず『やる』必要がある」らしく、要は「やってるうちにやる気になってくる」とされています。

なので、「1秒だけでも触ろう」という気持ちで楽器を手に取ってみましょう

実際のところ、逆に「手に取って1秒だけ触る」なんて器用なことは出来ず、ポロポロ弾いてるうちにやる気が出てきて、「気づいたら1時間くらい弾いていた」なんてこともあるはずです。

ギターに限らずですが、おすすめの思考法は、「◯◯をする」ではなく「数分だけ、自分の時間を捧げて楽になる」と考えることです。

これは経験則ですが、気が向かないこと(私にとっては掃除や洗濯など、 いわゆるルーティンワーク)の実施を余儀なくされるとき、「〇〇をやる」と考えると憂鬱になるのですが、「10分だけ時間を捧げて、終わったらもうハッピーじゃ」と、憂鬱な時間を乗り切って解放された自分をイメージすると、「それくらいならやるか」って気になります。

…なんかもう「『1秒だけ触るか』なんて考えてる時点で自分はギター好きじゃないのでは?」とか思ったりもしますが、そこはまあ「習慣化できるなら良し」と考えて気にせず進めましょう。

「練習を始める行動トリガー」を決める

賢い人たちの言葉では「オペラント条件付け」などと言われるやつです多分。

要は「◯◯したら次はギターの練習をする」といった関連付けを定着させ、「逆に言えば◯◯すればギターの練習モードになる」といった流れを自分なりに作る、といったイメージです。

行動のきっかけ、「トリガー」を作るということですね。

毎朝欠かさず練習をする、とあるスポーツ選手の例では、練習のための行動トリガーは「家の前でタクシーを拾うこと」だそうです。

要は、「タクシーを拾って練習場に行ったらもう練習するしかない」ということですね。

ギターの練習で取り込みやすい関連付けとしては、「TVを消す」とか、「椅子の高さを練習用のものにする」などでしょうか。

このような形で関連付けを行い、習慣化していきます。

移動時間を「運指のイメトレ時間」にする

こちらは移動時間が多い方には特におすすめの方法です。

YAMAHAの「Kitter」などの再生速度を調整できるスマホアプリを活用し、半分程度の速度で再生しつつ、頭の中で運指をイメトレする、という方法です。

【Kitterリンク】
https://ses.yamaha.com/kittar/

また、A-Bリピート機能などもあるため、苦手なフレーズについては反復練習を「これでもか」と行うこともできます。

これが案外難しく、一曲通して集中力を維持してイメージを通し切れることは少ないです。(私だけでしょうか)

再生速度を下げる必然性はないのですが、曲の習熟度が低いうちは、原曲のスピードでは運指のイメージがついていきません。

しっかりと頭の中で運指をイメージできる速度まで落として、徐々に上げて行くと効果的です。
※「Kitter」で取り込めない楽曲については、例えばYouTube動画であれば、再生速度調整でスローにするなど。

運指を頭の中で再現できるくらいまで練習していることが前提の方法になりますが、通勤通学の時間を(ある程度ですが)ギターの練習時間として活用できるようになるため、非常におすすめの方法です。
※「Kitter」はiPhone用なので、Androidユーザーの方はGooglePlayストアで「再生速度変更」などでヒットするアプリをいくつか試していただき、使いやすいものを試してみてください。(雑ですみません。。。)

2日連続でサボらないようにする

偉そうに言ってますが、ここまでやっても「今日は無理。。」って日もあります正直。

そんな時、必要以上に気に病まなくて大丈夫ですが、「2日続けてサボる」ということがないよう、次の日こそは「1秒でも触る」ようにしましょう。
「2日続けてサボる」ことは、「サボる習慣の始まり」となるため、そうならないよう1日で止めます。

なんでも、習慣化のコツは「毎日(例え1秒でも)続けている」こと自体が大きな意味を持ち、それが自信となり、その自信が更に習慣化を強める、といった具合で、そうした研究結果もあるようです。

要は、「2連続サボり」は、「サボる習慣の強化」になってしまうわけですね。

偉そうに言う私も「うーん、昨日サボったけど今日もしんどいから5分だけ。。」などと、本当に緩い形で続けてます。

必要以上に深く考えなくても大丈夫かな、と思います。

おわりに(と、習慣化関連でおすすめの書籍)

習慣化について書いてきましたが、ご参考になりましたでしょうか。

このネタを書くきっかけになったお話を1つ紹介したいと思います。

とあるギターコンクール入賞者の方が、ご家庭もある50歳くらいの方だったのですが、平日は会社員として仕事に励み、土日だけギターの練習をされている、と仰っていました。

それでも入賞されていてすごいな、と思ったのを覚えています。

練習時間の総量も大事でしょうが、密度や、少ない頻度だとしても必ず練習を継続する習慣こそが大事なのだろうな、ということかと思います。

どうしても平日にギターの練習ができない方は、「土日に集中して練習するために、平日全ての雑務を片付けておく」といった棲み分けも大事かもしれません。

つらつら書きましたが、大事なのは過去の自分との比較なので、あまり気にせず、以前の自分と比較して前に進んでればいいのかな、と思っています。

「ギターの練習を習慣化したい」とお考えの方にとって、少しでもヒントになると嬉しいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

ギターに限らず「習慣化」全般にご興味がある方は、以下の書籍が刺さると思いますので、是非読んでみてください。
※書籍・kindle・Audible版とあります。私はAudible版を買ってジムで運動しながら聞いて概ね満足でした。

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