クラシックギターアンサンブル・ソロギター編曲のやり方、楽譜アレンジ・編曲のコツやらあれこれ

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【ギターアンサンブル譜編曲のコツ】パートが余る・足りないときの対策

更新日:

クラシックギターアンサンブル譜の編曲を行う中で、
「このフレーズ、音数少ないからパート余るな」
とか、逆に
「楽譜に入れたいフレーズがあるのに、パートが足りなくてどうしよう」
と頭を悩ませることも多いかと思います。

どちらのケースも、おおまかに言えば
「無理な形で解決しようとしない」
ことがコツではあり、例えば「余る」場合は、最終的には
「ならもう休符にしとけばいいや」
という対応でも案外大丈夫だったりします。

逆に「足りない」場合、状況的に大丈夫ならば
「パートを1つ追加して編曲しなおす」
というのも、最終手段ですが対応策の一つです。(その辺は後述します。)

それでは、パートが余るケースと、パートが足りないケースそれぞれについて書いていきます。
忙しい方は「目次」からご興味のある内容だけご覧ください。
もっと興味のある方は、ギターアンサンブル編曲の実践的なやり方がわかる以下のnoteを見てみていただけると嬉しいです。
【誰でもできる】ギターアンサンブル編曲の手順書

【コツ①】パートが余る場合の編曲

パートが余る場合について書いていきます。
余る場合については、けっこう如何様にもできたりします。

本来1つのパートが弾くべきフレーズを、複数パートが「代わりばんこ」で弾く

字面だけではちょっとわかりにくいと思いますが、メロディなり、原曲におけるメロディの裏の弦楽器に相当するフレーズを、2つのパートが小節毎に交互に弾くようなイメージです。
※俗に「オスティナート」「リフ」と言われる、同じ音型が繰り返し用いられるフレーズが、比較的相性が良いです。

絵面にするとこんな感じです。
フレーズ交互の編曲イメージ

私見も多分に含まれますが、「視覚的に動きがない」ことは、ギターアンサンブルの大きな弱点だと思います。
乱暴に言えば、「見た目的に面白味に欠ける」わけですが、そんなギターアンサンブルにおいて、この手の動きをすることで、
「お、なんか交互に動きがあって面白いな」
とか思っていただけたりもします。

ちなみに、この動きを採用する場合は「両端のパート」で交互にできるとよりステージ映えすると思います。(4重奏なら、「1stと4thで交互に弾く」わけです。)

メロディのユニゾン/オクターブユニゾンにする

盛り上げるべきフレーズの場合は、この方法が刺さります。
「ユニゾンってなんぞ?」
という方に向けてお話しますと、
・ユニゾン=まったく同じ高さの音
・オクターブユニゾン=オクターブ違いだけど同じ音名の音

って感じです。

主にベース音の状況に応じまして、
・ベース音が十分に低い場合
 →メロディのオクターブ下のユニゾン

・ベース音が高めの場合
 →オクターブユニゾンにするとベース音より低くなってしまうため、ユニゾンにする

といった対応を行うと良いかと思います。
絵で示すとこんな感じです。
ユニゾン、オクターブユニゾンを割り当てる場合のギター合奏編曲イメージ
 

思い切って休符にする

盛り上げるべきフレーズではない場合、思い切って丸々休符にしてしまうのも一つの策です。
というのも上記の通り、ただでさえ「視覚的に動きがない」ギターアンサンブルにおいて、「全パートが常に全員で弾いている演奏」というのはメリハリがなく、聴いていて(見ていて)退屈に感じるものだったりします。

「五重奏でも1~2パートだけ弾くフレーズ」とか「大人数のアンサンブルでソロのフレーズ」とか、そうしたメリハリがあると、視覚的にも面白い演奏になります。
なので、
「思い切ってここは休符にするか」
という選択肢を、頭の片隅に留めていただけると良いかと思います。
※編曲の時間短縮にもなるし楽だったりします^^;

【ご参考】「余る」場合は「詰まない」

…ここまで読んでいただき、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、実は上記のパターンだけでも、「余る」場合については「対応策がなくて詰む」ケースがなくなることがお分かりいただけると思います。
というのも、
・盛り上げるべき場面→ユニゾンで音を割り当てる
・静かでいい場面→休符にしておく

↑という形で解決できるからです。

もちろん余裕があれば「代わりばんこ」で見た目も面白くしたり、上級者の方についてはご自身の思うがままにフレーズを創作・アレンジしても良いかと思います。

【コツ②】パートが足りない場合の編曲

「余る」ケースと比較して、打てる手はそんなに多くなかったりします。
基本的に、「1つのパートが複数の役割を賄う」という考え方になるためです。
1パートあたりの負荷を増やし、手の空くパートを意図的に作るイメージになります。

和音とベース音を1つのパートで担当する

和音とベース、つまりは伴奏について、2パート必要だったところを1パートで賄うことで、もう片方のパートの手を空けるわけです。
イメージ的にはこんな感じです。
和音とベース音兼務の編曲イメージ

もちろん伴奏パートの難易度は上がるわけですが、どうしても弾かせたいフレーズがある場合は、このような対策で乗り切るのが吉です。

メロディパートがベース音も弾く

「ベース音が比較的長めの音符」で「動きが少ない」ことが前提となりますが、その場合はこの手法が有効となります。
こんなイメージになります。
メロディとベース音兼務の編曲イメージ

先ほどのパターンは、ともに伴奏パートである「和音+ベース音」なので親和性が高いですが、こちらはギターアンサンブルの経験しかなく、クラシックギター独奏の経験がない方は慣れるまで辛いかもしれません。
クラシックギターの独奏経験が豊富な方にとっては、ベース音を弾きながらメロディを弾くのは日常茶飯事なはずですので、そんなに抵抗はないかと思います。
所属団体において、この手の役割を丸投げできそうな人がいたら、頼ってみると良いかと思います。経験上、ソロギター厨の人はその技術を頼られたら(口では何と言ってても)何だかんだで喜んで力になってくれるはずですので。

どこかしかのフレーズを諦める

上記2つの策、「役割を兼務して1パートの手を空ける」のが困難な場合、重要度の低い音を諦め、「足りない」ために弾けなかった音を取り入れるのも一つの策です。
例えば、「ベース音の動きはおとなしくなるけど、まあ和音で事足りるか」という状況の場合はベース音を諦め、別の音を割り当てる、といったイメージです。
絵で示すとこんな感じです。
取捨選択を行う編曲イメージ

元々の音と、「足りない」ために弾けない音と、どちらが曲全体にとって重要な要素か、優先度を判断して取捨選択する、という形になります。

思い切ってパートを増やして編曲しなおす

その曲の編曲を行う中で「パートが足りない」と感じる状況が頻繁に起きる場合、パート構成を増やすことを検討すべきかもしれません。 
「ここまで頑張って合奏譜作ったのに。。」
という悲鳴も聞こえてきそうですが、「足りない」と感じることが常態化するということは、編曲されているご自身のゴールのイメージと合奏譜の実態に、すでに大きな乖離ができている状態です。

編曲者自身の「なんか違うんだよな」という感覚は楽譜にも練習時の空気にも出ますし、演奏者にも良い影響は与えません。
…説教くさくなるので短くまとめますと、
「ガマンはよくない。編曲者・演奏者自身が『カッコイイ』と思って弾けば大体お客さんにも『カッコイイ』と思ってもらえる。」
ということです。
 
おそらく本サイトをご覧になるであろう、アマチュアのギターアンサンブル愛好家の方にとっては、ご自身がギターアンサンブルを楽しみ、お客さんを楽しませることが大事だと思います。
そのためにパートを増やすのがベストか、パート構成を変えずにほしい音(要素)の取捨選択を都度行うのがベストか、状況に応じて決めていただけると良いかと思います。

まとめ

ギターアンサンブル編曲の中でパートが余る・足りない場合、状況に応じ以下の対策を行う。

〇余る場合
・1つのフレーズを複数パートが交互に弾く
・ユニゾン/オクターブユニゾンの音を追加する
・思い切って休符にする

〇足りない場合
・和音/ベース音を同じパートが担当し、1パート手が空くようにする
・メロディ/ベース音を同じパートが担当し、1パート手が空くようにする
・どこかしかのフレーズを諦め、追加したい音を優先する
・パートを追加して編曲しなおす

冒頭でも触れましたが、ギターアンサンブル編曲の実践的なやり方にご興味がわいた方は、以下のnoteを見てみていただけると嬉しいです。
【誰でもできる】ギターアンサンブル編曲の手順書
ここまで読んでいただきありがとうございました。

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